ここでは寸法計画(L*W*D、WB、Tred、タイヤサイズなど)が決められた自動車のケースを「3DGシステム」を使って、スケッチから立体化する基本的な手順を紹介します。
step 00)準備作業:
自動車のデザインに限った話ではないでしょうが、工業デザインのスタートは凡その寸法は決めた上でスタートします。その寸法(一般的にパッケージと言われる)制約の中でアイデアスケッチは行われます。そのL*W*H値やW.B.*Tred値などの空間を「スペックBOX」と呼ぶことにしますと、本システムではそのスペックBOXとスケッチとを一致させることで視点を決めています。この複雑・高度な条件下で正確にスケッチを描くという問題は別法で解決しますが、改めて“「イメージ」から「リアル」へ”の章で説明いたします。
step 01)3DG絵特徴定義:
スケッチに描かれている特徴的な点(前端点、全高点など)や軸(水平軸、垂直軸など)とそれらに対応する3次元空間の点や軸をコンピュータに教えます。
step 02)3DG基準平面定義:
スケッチはそれらの点と軸で空間に対応づけられたので、その中から誤差がより少なく、アングルがより適切な空間をコンピュータが計算した候補の中から選択します。
step 03)3DGキャビンのモデリング:
スケッチと空間が設定されたら描かれたスケッチの線を立体化する準備が整います。先ず、ドア断面を与えれば仮想的曲面が設定され、ルーフエッジ線、ウィンドウ線、ベルトラインなどはスケッチをナゾルだけで立体化されます。
step 04)3DGドアモデリング:
ドア断面の形状をモデリングされたキャビン断面と対応する位置に指示し、そのスウィープ面を作成します。本事例ではW型の複雑な形状をしていますが、1本の線としてモデル化しています。
step 05)3DGフロントウィンドウモデリング:
本工程はキャビン前半のルーフ面張りとフロントウィンドウ面のモデリング操作を紹介しています。それらの曲面が前後・左右で折れたり、不連続な面になったりしないように指示する必要があります。尚、ウィンドウはコンシールドワイパーを備えているため、描画されていない窓下線は想定で指示しています。
step 06)3DGグリル部のモデリング:
ここではグリルを例にして、平面ラウンドの決め方の1例を紹介しています。スケッチのセンター
断面線(a)とグリルの上下線(b)をトレースします。するとラウンドの無い面が出来ますがこれは
ラウンド量を決めるための暫定的な面です。グリル上線の端点とスケッチの視点(既知)と
を直線(赤)で結びます。その線をミラー表示して反対側(ボディ右側)のグリル上線(スケッチ上)
の端点に点を打つとその点がラウンド量を表すのですが、ちょっとヤヤこしいですかネ?
この辺りの作り方については「スケッチ特有の立体化」などをご確認下さい。
step 07)3DGフードレリーフ部のモデリング:
フードレリーフと先程のグリルを繋ぐ造形をしています。レリーフ線の両端点と折点の3点を指示すると、直ぐに線が立体化されますが、勿論3点平面に投影したからです。即ち、平面曲線にした訳です(自動車のこうした曲線は平面曲線化されるのが一般的です。あらゆる方向から見て曲線が捩れたり歪んだりして見えないからです)。 尚、線をトレースした時、画面を外れて直線が飛びますがバグです。スミマセン。
こうして作成したものがトップページの画像と動画で示したモデルです。